moeの最初の商品となる革の3wayバッグ「urchin」。
平面のイラストをもとに完成まで6回の試作を重ねました。
最初の1、2回は手探りの状態。5Wayバッグを試すなどバッグについて勉強することばかりの状態でした。
3回目の試作でポケットなど外観まわりを固め、4回目以降はPCバッグ機能としてのパソコンの収納部を中心に進めていきます。
バッグ作りの理解が進むに連れ、今度はPCバッグについて開発は進みましたが、3Wayバッグ開発は他の革のバッグの開発にも活かせる貴重な経験となりました。
こうしてmoeの商品第一号、PCが入る革の3Wayバッグurchinが誕生しました。
PCが入る革の3Wayバッグの完成に向けて
2回目の試作でトートやクラッチバッグのスタイルを追加した5Wayバッグを試みましたが、3回目の試作では本来の3Wayバッグに戻しました。
開発コストもさることながら、機能を多くしても使いこなすのが難しくなるのでカジュアル・ビジネスバッグともに3Wayがベストのようです。
3回目以降の試作では外観周りからバッグの内側、PC収納部などが中心になっていきます。
裏側にタブレットが入るポケット。3Wayバッグの外観仕様をかためる
3Wayバッグの本体裏側に(写真:下)はサイズの異なる2種類のポケットを設置。
さまざまな異なるサイズのポケットを設置した方が用途に合わせて使えると判断しました。
ひとつはスマートフォンの大きさ程度のものが入るもの。もうひとつはiPadなどタブレットサイズのものが入るポケットです。
また裏側のポケットのボタン金具は内側のボタンホックにしました。
電車での移動など座ったままバッグの上でノートパソコンを広げた場合に、金具がノートPCを傷つけるかもしれないという意見がありました。
今回の3Wayバッグは外観にポケットが多く、ファスナーやボタンが多くなるのは仕方ないのですが、バッグの裏側のポケットは表面に金具を使わないように工夫しました。
また、リュックスタイル切替時にショルダーストラップを絡めるために通すバッグ裏面のガイドの位置を中央に移動しました。
ガイドの位置を替えてリュックスタイルを調整したかったのですが失敗。本体両サイドの金具(D管)の位置に対して高さが取れず、リュックにするとかなり窮屈でした。
よく考えれば・・・ってことなんですが、3Wayバッグとしてのリュックは補完的な位置づけなので、重心や位置の調整は個々のユーザーの体格も考えれば難しいところかもしれません。
バッグ持ち手部分の強化、リュックスタイルのショルダーストラップのガイド部対策
3Wayバッグの機能はほぼ確認できたのですが一つ問題が発生しました。それが、バッグ本体と持ち手の結合部分の強度の問題でした。
金具でかしめて縫製しているのですが、少し力を入れると縫製部分が綻びてしまう。
3Wayバッグ機能のリュックや手提げではかなり大事なポイントです。
カシメ金具を増やすと1回目の試作と同じなので、持ち手とストラップのガイド部を一体化することにしました。(写真:下)
またガイド部のパーツで補強するため幅を少し太くしました。
結果的に、持ち手の間にショルダーストラップを通すためガイドの幅が広くなり良い具合に遊びができました。
PCの保護や収納を考えた3Wayバッグの内側の仕様
PCバッグについて考える
3回目以降の試作でPCを収納する内側の仕様について本格的に取り組みました。
公式なPCバッグの定義はないので3WayバッグをデザインしたときからPC売り場のPCバッグをみながら考えていました。
最初はケーブルや充電器といった周辺機器専用の収納も考えましたが、あまり専門的になるとコストも上がり汎用性、多様性が損なわれ、ターゲットユーザーを狭めてしまうような気がしました。
専門的にするなら、バッグインバッグやPC周りの周辺機器などをまとめて収納できるポーチのようなバッグをつくろうと思います。
財布や小銭入れといった革小物に関してはブランドが定着してからという考えですが、周辺機器を取りまとめる専用のケースやツールはPCバッグブランドとして特色を出しやすいので企画してきたいと思います。
バッグの落下などの衝撃からパソコンを保護するPCバッグ機能
PCバッグ機能で一番の課題はノートPCの収納スペースです。バッグの素材の革は衝撃をやわらげる役割も果たします。
PC収納部にはバッグの底やPCが入る裏側にクッション材を敷き詰めて衝撃吸収力を強化しました。
また、バッグ内でのノートPCの揺れを抑えるために収納部の口にマジックテープで抑えて調整できるようにしました。
現在、ノートPC収納部のポケットのマチ(厚み)は3cmですがノートPC本体の軽量化、スリム化が進んでくればもう少し狭くしてきたいと思います。
最終的にノートPC収納部を含めて内側はポケット4つ。
正面の裏側のポケットは底を浅くして小物を入れても上から一目見て確認できるように考えました。
ポケットの深さについては色々意見があるのですがお客様の声を反映しながら調整していきたいと思います。
moeの最初のPCが入る革のバッグ「urchin 3Way」誕生
ショルダーストラップも肩パッドを付けて商品として完成。
ようやくの思いはありましたがまだ商品名が決まっていません。
単純にパソコンが入る革の3Wayバッグでもいいと思ったのですが、3Wayバッグを表現する愛称のような名前があれば親しみやすく、ブランディングも取り組みやすいと思いました。
完成した3Wayバッグを見つめながらキーワードをあげていき、辞書やGoogle翻訳で語感や発音の響きなど考えました。
そして命名したのが「urchin」です。
urchinとは英語で「やんちゃなわんぱく小僧」を意味します。
3Wayバッグは内外合わせて9つのポケットなど機能面を重視。
ゴツゴツした印象はあるもののバッグに触れると柔らかくしっとりした感触。
素材である革はオイル仕上げの心地よい手触りで、少しかわいい感じのある"やんちゃ坊主"が合うように思いました。
2015年3月。トートバッグも完成しておらず、播州織の裏地によるオーダーメイドサービスもまだ生まれていませんでした。
この後、革のトートバッグの開発に取り組んでいきます。