出来映えが違う!適材適所の革の部位を使ったバッグ作り

バッグの品質を左右する革の部位選び

適材適所で部位を使い分ける革のバッグづくり

革はバッグの品質を左右する大事な素材。

moeのバッグに使う革は、姫路のタンナーが手掛けるオリジナル仕様。

厚み、カラー、仕上げなど私達のブランドイメージを伝えるバッグ作りの専用の革です。

同じ革でも肩やお腹など、きめ細やかさや厚み、強度など各部位ごとに特徴を持っています。

これらの部位を適材適所に使い分けることはバッグの出来映えだけなく、丈夫で長持ちさせることにつながります。

使い所となる部位の特徴を考えてつくるのが革のバッグやレザークラフトの醍醐味です。

いつまでも長く使えるバッグに。厚みや強さが異なる革の部位

革の繊維の流れ
革の繊維の流れ

厚みやきめの細やかさに加えて強度や弾力・伸縮性など部分によって違いがあるのが天然皮革。

食肉でいえばサーロインやアバラ、もも肉など部位によって異なるように、皮も異なる特徴を持っています。

それぞれの部位で繊維の流れや密度の度合いがあり、その特徴に合わせてバッグのパーツを切り出します。

革の強さや伸縮性を左右する繊維の密度や流れ

革は繊維の密度が高いほど強く、繊維の流れる方向に伸びにくくなります。

繊維の密度や流れが部位によって異なるため、素材としての強弱が生まれます。

繊維の流れは背中から頭部、腕、お腹、足、臀部へと広がっています。

背中や臀部は密度が高く強度があり、お腹まわりは密度が低く厚みもなく強度もありません。

このように、革の各部位の特徴を使い分けて作られるバッグはいつまでも長く使い続けることができます。

例えば、バッグの持ち手やショルダーバッグの肩ひもは荷物を入れて持ち歩くと下方向に引っ張られます。

このような場合、繊維の密度が高くて丈夫かつ繊維の流れが安定している背中で背骨に沿うような方向でパーツを切り出して使います。

レザークラフトで使い所を考える革の各部位の特徴

厚みや柔らかさなどが異なる革の部位
厚みや柔らかさなど異なる特徴を持つ革の部位

革は部位によって、厚み、硬さ、伸縮性など特徴があり、それらを使い分けるのがレザークラフトの魅力であり難しいところ。

牛皮を例に各部位の特徴を見てみましょう。

柔らかく耐久性のあるショルダー

肩(ショルダー)まわりの部位。お肉でいえば肩ロースでしょうか(笑)。

歩行で常に前足が動くのでシワや傷が多い部位。

厚みはそれほどではありませんが、柔らかく耐久性も備わっています。

広くて品質が安定。使いやすいベンズ

ベンズ(BENDS)は背中から腰あたりの部位。お肉でいえばロースやサーロイン。

厚みも均一で傷も少ないので様々な用途に使いやすい部位。

面積も広いので、ショルダーバッグの肩ひもやベルトのような一枚物のパーツにはおすすめです。

厚みも耐久性もOK!目立つところにつかいたいバット

バット(BUTT)腰から下のお尻まわり。お肉だとランプやモモのあたり。

厚みと耐久性があり、傷も少ないので素材として品質の高い部位。

馬革で良質なものはコードバン呼ばれる高級な素材として有名。

バッグのフタや正面部分など目立つところに使いたい素材です。

柔らかいが厚みが薄いベリー

ベリー(BELLY)はお腹まわりで、バラ肉のあたり。

柔らかさはあるのですが、伸びやすく、厚みや強度も弱いのでメインのパーツに厳しい部位。

バッグなどの革製品では、裏地などの内側や目立ちにくいところなどに使われます。

素材の部位を使いこなすなら半裁がおすすめ

肩、背中など複数の部位がある半裁の革
肩、背中など複数の部位がある半裁の革

革素材について、部位ごとの厚みや強さ・柔らかさなどの特徴を活かすことはレザークラフトで大事なポイントの一つ。

素材を適材適所に使い分けることで同じ製品でも出来映えだけでなく品質にも影響を与えます。

バッグや財布など長い間使われ続ける革製品は経年変化を味わえるのが魅力ですが、耐久性が要求されます。

一頭分の部位を持つ半裁革

部位を研究したり、使いこなすなら素材を半裁で購入することをおすすめします。

半裁とは背筋に沿って左右に切り分けた革で、サイズはおおよそ縦1m、横2m程度。一頭で右向き、左向きの2枚が作られます。

皮革のなめしで背割りという工程で半裁となり、市場に出回ります。

一枚の大きな半裁の革を手にとって厚みや強さ、柔らかさなどを確かめ、パーツを切り出して使ってみましょう。

半裁革では傷や厚み不足で使いにくいところもでてきますが、素材をやりくりするのも勉強です。

余った革素材は、ハギレとして縫製やコバ磨きなど練習用に使ってみてはいかがでしょうか。

素材の入手についてはA4やB5サイズなどの切り売り素材も利用できます。

切り売り素材は品質は安定していますが、ショルダーやベンズといった部位の指定は難しく、単価も割高になります。

半裁だと同じ製品を数多く作る場合に、最大生産数が計算できるので計画的な素材管理が可能となります。

同じ銘柄の革素材でも半裁ごとに仕上げのカラーが微妙に異なる場合があります。

一枚の半裁から複数の製品をつくることができれば見た目も作りも同じ品質のものを作ることができます。