マスキングテープで気軽にお絵描き - マステちぎり絵作家 田村美紀さん

プロフィール

マスキングテープの図案や和紙の素材を活かしながら、手でちぎって制作。

マスキングテープの監修、広告のイラストレーションなど関西を拠点に活動。

著書:「かわいい∞たのしい∞マステちぎり絵POSTCARDBOOK」講談社

URL:https://tamuramiki.com/

【主な経歴】

○ 2010年
マスキングテープを使った制作を在学中より始める
○ 2011年
イラストレーターとして活動を始める
○ 2016年
著書の出版
○ 2017年
PHP研究所「のびのび子育て」にてマスキングテープアレンジの連載
○2 017年
いすゞ自動車「いすゞプラザ」にてワークショップ開催
○ 2018年
京都・あじき路地にてアトリエショップオープン

【今後の活動予定(2020年2月現在)】

○ 2020年3月7日、8日
アトリエショップ(京都あじき路地
○ 2020年3月21日、22日
紙博 in 仙台
○ 2020年4月25日、26日
紙博 in 東京

moe立ち上げ時より撮影モデルをお願いしている田村さんにインタビュー。

マスキングテープをちぎって絵を描くマステちぎり絵作家として活躍される田村さん。

田村さんがオーダーされたのはチャコールグレーのbaeトートバッグ

撮影時からのお気に入りの革のトートバッグ。裏地もこだわり、柄は田村さんオリジナルのグレー系の方眼柄。

名入れは田村さんの直筆サインをパソコンに取り込み、レーザー刻印したオリジナルデザイン。

マステちぎり絵を始めたきっかけやその魅力、制作の取り組み方、革とのコラボレーションなどいろいろとお話をしていただきました。

マステちぎり絵作家 田村美紀さん
マステちぎり絵作家 田村美紀さん

筆とは違う画法でグラデーションが表現できるマスキングテープ

筆とは違う画法でグラデーションが表現できるマスキングテープ

田村さんとお会いしたのは、moe立ち上げ時の撮影で2015年の9月。その時すでに作家活動をされていましたが、何がマステちぎり絵のきっかけになったのでしょうか。

学生時代の卒業制作として始めたのがきっかけです。

在学中の前半は筆を使って手で描いていくアナログの授業でしたが、後半はパソコンでイラストレーターやフォトショップを使うデジタル制作の授業が中心でした。

ただ、デジタルの授業が続いた反動で自主制作はアナログをやっていました。

卒業制作ではパソコンを使うデジタルの人が多かったので、あえてアナログでしたいと思いました。

その時にマスキングテープで絵を描こうと思い、先生に相談したら「いいんじゃない」って感じだったのでそれが始まりですね。

出会いは画法の研究。筆を使わないマステちぎり絵のはじまり

アナログで絵を描く方法はたくさんあると思うのですが、なぜマスキングテープ(以後マステ)なのでしょうか

マステに出会ったのは大学の購買部でした。

そこに雑貨ブランドの新商品としてマステのシリーズ物が置いてあったんです。

もともと水彩で絵を描いていたのですが、もっと違う表現をしたくて画法を研究していました。

そんな時、なんとなく手にしたマステを張り合わせたら水彩画のようなグラデーションができたんです。

これは行けるかも!って思いやってみることにしたんです。

出会いは画法の研究。筆を使わないマステちぎり絵のはじまり

それでマステちぎり絵の広がりとともに作家として活動することになったのですね。

最初の頃は知られてなかったので、マステちぎり絵を説明することが多かったですね。

でも、徐々に説明することが少なくなり、いろんな人が作品を好きになって見に来てくださるようになったんです。

作家活動に関しては、学生時代からギャラリーを借りて自分の作品を展示して販売していました。

楽しいことをやっていて食べれたらいいなぁってぐらいの感覚でした。

下絵に縛られない。偶然からできる面白さがあるマステちぎり絵

下絵に縛られない。偶然からできる面白さがあるマステちぎり絵

作家としてイラストもやられるそうなのですが、制作は手書きのイラストで下絵を描いてマステで仕上げていくのでしょうか

手書きのラフは描くのですが、本番は下絵なしでやっていきます。

下絵に作業すると手書きの線が見えたりするので、下絵を見てあたりをつけながら何も描かれていない紙にマステで描いていきます。

また、下絵にマステで仕上げようとすると下絵を意識しすぎてだめなんです。

偶然からできる面白さもあるので、多少は下絵に縛られない自由さもあっていいと思います。

制作は筆まかせ。テープを剥がしたり、ちぎり方を変えながらの色合わせ

下絵に縛られないということですが、配色やディーティルについてもその時の感覚やイメージで変えていくのでしょうか

そうですね。色合わせというか配色もふんわりイメージしていて、細部は実際に手合わせして決めています。

筆でいえば「筆まかせ」で色を決めるようなタイプだと思います

筆と似ていて、マステも貼り合わせることで色の濃淡や重なりを表現できます。

ただ、重ねすぎると色の透明度が落ちてしまうので、重ねる割合を調整しながらちょうどいいところまで持っていきます。

なるべく重ねすぎず、そのままだと面白くないと思えば剥がしたり、逆に重ねたりもします。

作っていく中で最初に考えたイメージと違ってくることもあると思うのですが、そのような時はどうされるのでしょうか。

プレッシャーとかではないのですが、ちょっと変だと思ったら一旦立ち止まって時間をとります。

マステはやり直しができるのでテープを剥がしたり、ちぎり方や貼り方をかえたりしながら軌道修正します。

作って失敗したって思うことはないですが、これで完璧!と思えるような作品はまだ作れてないかもしれません。

トライ&エラーが気軽でお絵描きが楽しめるマステの魅力

下絵に縛られない。偶然からできる面白さがあるマステちぎり絵

作っていてやり直しや修正ができ、楽しめるのがマステちぎり絵の長所であり魅力なんですね

マステはトライ&エラーが気軽にお絵描きで出来るので、そこが楽しいんです。

筆や色鉛筆だと修正で消したり、やり直しするのが大変です。

やり直しがきかない緊張感から生まれる楽しさもありますが、修正していくうちに飽きてしまうことも。

マステの場合は足したり、引いたりできるんです。

文具を画材として。親しみやすく身近に感じて欲しいマステちぎり絵

マステを画材とすることでお手軽で始められ、アート作品としても身近に感じてくれるのも魅力だと思います。

描くこともそうですが、絵の具の作品をギャラリーでアート作品として展示すると敷居が高くなって緊張して見るのが苦手な人もいます。

でも、マステのような文具を使った作品なら親しみを持って見やすくなるかなって思っています。

見るのも描くのもお手軽で始められるのがマステちぎり絵の魅力だと思います。

一方で、マステちぎり絵の短所のようなところはありますか

親しみやすいものとして取り入れたマステなんですが、お手軽すぎると受け取られるところがあるみたいです。

ワークショップとか行かなくても自分でもできちゃうと思われて軽く扱われたり、安っぽく思われたりするのかもというのはあるかもしれないです。

でも、親しみやすく身近に感じて欲しいと思って始めたので、それはそれでいいかなと思っています。

親しみやすく身近に感じて欲しいマステちぎり絵

作品は作る前が大事。アイディアは音楽から

お手軽で簡単にできそうなマステちぎり絵ですが、本格的に取り組みだすとそれなりに時間はかかってしまうと思うのですが

どんな画材や制作手法でも同じだと思うのですが、構成をまとめることに時間がかかちゃいます。

作品は作る前が大事。制作は早ければ2、3時間くらいで仕上がります。

依頼を受けて描く場合なら、どのようなイメージで作るかなど詰めていくためにいろいろ調べたりしないと行けないので結構時間がかかっちゃいます。

空間や光と影も使い挑戦するマステちぎり絵の個展

お仕事として依頼を受けて描く場合は、テーマやお題があるので取り組みやすいと思いますが、ご自身で企画される個展などはどうされているでしょうか

個展については自身でテーマを決めるのですが、新しいことに挑戦する場と捉えて年に一回は必ずやろうと決めています。

どうしても自己満足になりがちなので、見に来てくださる人のことを考えて取り組んでいます。

個展の場合は展示会場という空間を使えるので、照明の光や影の強弱も利用して作品を演出します。

空間や光と影も使い挑戦するマステちぎり絵

行き詰まったときの気分転換。アイディアは音楽から

たくさん作品をつくっていくとアイディアやネタづくりでストレスがたまると思うのですが、どのようにして気分転換されているのですか

集中力がきれたら全く別のことをするようにしています。

音楽からイメージすることが多く、好きなアーティストさんの曲を聴いてリフレッシュしています。

FMラジオが好きで、そこから情報を仕入れる感じで気に入った曲やアーティストさんがいればそこを深く掘り下げていきます。

好きになるといろいろと調べたりしてハマる方なんです(笑)。

マステも最初は遊び感覚だったんですが、いろんなメーカーさんから新しいテープがでるのを試すようになってのめり込むようになりました。

マステと紙のコラボレーション。質感で変わるマステちぎり絵

マステは絵の具のような画材と違っていろいろな柄やイラストの入ったものがあり、コレクショションとしても面白そうですね。

マスキングテープが出始めて10年くらいだと思いますが300くらいは持っていると思います。

普段よく使うものは30種類くらいはあると思います。

よく使う色や柄のマステってあるのでしょうか

制作は柄がない無地のマステをよく使うのですが、需要が少ないようで雑貨屋さんや百均ショップなど目についたら買うようにしています。

柄物のマステは、それなりに雰囲気もでるので以前は無地のものに合わせて使ってたんですけど、シンプルに見せることをテーマにしているので無地や淡色系のものが多いですね。

革の経年変化で変わる作品のテイスト

質感でもマステは和紙っぽいのものもあればつるつるした質感のものなどさまざまですね。絵を描く用紙というか台紙ですが、紙以外のものでやるのも面白そうですね。

基本は紙なんですが、最近はガラス板やアクリルフレームなど透明なものにテープを貼ってみたりしています。

テープが貼れれば、どの素材にも相性が良いものが多いので実験も兼ねていろいろ試しています。

透明のものや白系のものなら相性が良さそうですが、黒とか濃淡のあるものはどうでしょうか

黒い紙にマステを貼って作品をつくることもありますね。

黒は白い紙と違う良さがあってマステの色が鮮明で締まり、ちぎった風合いも出しやすいので面白いです。

作品の雰囲気や依頼されたオーダーの内容によって黒い紙を使っています。

台紙として革素材はどうでしょうか。革も色彩が豊富で、baeトートのように型押しを施したものなど仕上げによってさまざまな質感を持つものがあります。

まだ試したことはないのですがテープの貼り付けや剥がすことも簡単そうですし、素材の質感も考えるといろんな組み合わせができて面白そうですね。

革は年月を重ねると風合いも出てきて趣が変わるので作品のテイストの変化も楽しめそうです。

マステと紙のコラボレーション。質感で変わるマステちぎり絵

撮る方ではなく撮られる側のモデルについて

革のトートバッグbae

オープン時にリリースした3Wayバッグsproutトートの撮影で、ブランディングの相談をしているはたなかさんに田村さんを紹介していただきました。

moeのブランドについて色、形、質感などいろんな事柄を単語や文章でまとめていて、その内容に田村さんのイメージがピッタリなのでモデルをお願いしました。

スタイリストの知り合いがいてヘアモデルなど経験があったのですが、屋外のロケでポーズをとったりして撮影したのは初めてでした。

最初は不安で全身ガチガチでした(笑)。

その後、coltishメッセンジャーバッグsnazzyクラッチバッグでもお世話になり、今回baeやamicoトートバッグの撮影でもモデルをしていただきました。

最初の頃は、緊張してどうしたらいいのかわからなくてぎこちなさがあったんですけど、だんだんとバッグを持つしぐさも慣れてきました。

今回の撮影ではかなり自然にできたのではないかと自分では思っているのですが・・・(笑)。

めったにない事なので、すごく新鮮というか楽しんで良い刺激になっています。

仕事的にいえば、撮られる方ではなく撮る方、描く方だと思いますがご自身が素材となるというのはどのように感じられますか

嫌な感じとかはなくて、この時の私はこんな雰囲気だったのかと確認できるのがいいですね(笑)

毎回、素敵に撮ってくださるのでありがたいです。

自分ではわからないのですが、描いている時と雰囲気が違っていて良いと言われるのが嬉しいですね。

イメージ以上にしなやかで体にフィットしたbaeトートバッグ

田村さんがオーダーしたbaeトートバッグ
田村さんのbaeトートバッグ

今回オーダーされたチャコールグレーのbaeトートバッグ。裏地は田村さんがご自身で用意されたオリジナルですね。

方眼柄が好きで裏地選びは即断・即決でした。

マステでも方眼柄があり、テープと繋がりが感じられるものがいいと思い、お店でグレー調でちょうどいい柄があったので迷わず選びました。

バッグと裏地はセットでナチュラルな感じにしたかったのでチャコールグレーを選びました。

実際に使ってみてイメージしていた以上にしなやかで、体にとてもフィットしていいですね。

手書きサインの入った田村さんオリジナルのトートバッグ

田村美紀さんの手書きサインを革に刻印
田村美紀さんの手書きサインを革に刻印

レーザー刻印の名入れが、作品で使われる手書きのサインでオリジナル感満載ですね

自分の手書き文字でこんなことができるなんて凄いですね。バッグに自分印ですね(笑)。

知り合いに見せると「どうなってるの?」って感じで手で触れて確かめようってするんです。

テンションもあがるし、より大事に使いたい気持ちになりますね。

トートバッグは普段使いの位置づけで使われているのでしょうか

お仕事でも使っています。このバッグはたくさん荷物が入るのでお仕事でもメインになっています。

最近はいろんな業種の人にお会いする機会が増えたこともあり、シンプルできれいめなバッグが欲しいと思っていたので良かったです。

タブレットや作品が入って便利なインナーバッグ

タブレットや作品が入って便利なインナーバッグ
タブレットや作品が入る革のインナーバッグ

インナーバッグも便利で、仕事はA4サイズの資料や作品など、紙をよく持ち歩くのですが折れ曲がったりしないのがいいですね。

他にはタブレットやwi-fiルータ、見つけやすいように小さいポーチなど細々したものも入れています。

インナーバッグは、バッグ内で固定できるので仕切りに使って荷物をできるのが便利ですね。

baeトートバッグのチャームポイント、シンプルでセキュリティになるドイツホック

baeトートバッグに使われているドイツホック
シンプルでセキュリティになるドイツホック

フタのドイツホックはbaeトートのチャームポイントでありアクセントですが如何でしょうか

詰まんで引っ張るだけなんですが、最初は戸惑どいました(笑)。

ちょっとしたセキュリティにもなりますし、慣れれば問題ないです。

機能もシンプルで見た目もキレイで使いやすくていいなと思います。

トートバッグって間口が広いのでガバっと開いちゃうというか、中が見えてしまうのが嫌だと思ったいました。

このバッグはそれがなく、ドイツホックでフタをすれば見た目もすっきりして中身も見えないのがすごくいいところです。

荷物も取り出しやすいですし、バッグの裏地もちらっと少し見えるところがかわいいと思いました。

イメージの変わった柔らかな革製品。革小物でマステとコラボレーション

普段使っている革製品はどのようなものがありますか

作家活動をやるようになって、革を使う作家さんと知り合うようになり、名刺入れや定期券入れのようなICカードや鍵を入れたりする革小物は使うようになりました。

大きな革製品は今回のトートバッグが初めてなんです。

baeのトートバッグを持つようになって革の印象って変わったでしょうか

これまでは、革はしっかりして丈夫だけど見た目の質感など「かたい」というイメージでした。

なので、普段の服装がカジュアルで着やすいものが多いので合わせにくいかなって思っていました。

baeトートバッグは革も柔らかくて体にフィットする感じなので印象は変わりました。

チャコールグレーのバッグは持った感じはカジュアルで、きれいめな服装にも使えるのでいろいろと合わせやすいですね。

型押しされた革も傷も付きにくそうで目立たない感じですし、表面がつるつるしたものより革らしい質感が感じられそうで気に入っています。

毎日使う革小物のアクセントにマステとのコラボレーション

マステちぎり絵の台紙として革素材も面白そうということでしたが、マステとコラボできるよう革製品はあるでしょうか

革のマウスパッドというかレザーマットなどは大きさ的にも良さそうですね。

マステと革のコラポで質感にマッチしたオブジェやデコレーションとか作品をつくるにもよさそうで、お客さんに提案しても面白そうです。

コラボなら革小物が良さそうですね。何かプロデュースしたい革製品とかあるでしょうか

例えばスケジュール帳とかで使う手帳カバーとか、毎日使えるものがいいですね。

アプリでスケジュール管理する人も多いのですが、私は紙が好きなので手書きのスケジュール帳を使っています。

なので普段使ってるものを革製にして、そこにマステでデコレーションとか少し手を加えたものをアクセントで付けて使えれば面白いと思います。

マステちぎり絵作家田村さんにインタビュー

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