トートバッグやメッセンジャーバッグなどPCバッグ機能を持った革のバッグを扱うmoe。
ブランド立ち上げで最も悩んだのが商品となるバッグのデザイン。
専門のデザイナーや委託先が見つからず、オーナーの浦本がデザインしています。
今回はブランドイメージを考えながら毎回苦労しているバッグのデザインのお話です。
個性と使いやすさのバランスを考えたバッグのデザイン
バッグのデザインでは個性と使いやすさのバランスを考えています。
ダメなのは、かっこいい・かわいいにこだわりすぎて使い勝手が良くなかったり、使いやすいけど不格好で個性がないデザイン。
デザインではいろんなバッグを研究し、センスを磨くことを意識。
個性的なデザインと使いやすさのバランスを図るためにセンスはとても大事だと考えています。
観ることから始めるデザインと磨き上げるセンス
センスは多くのデザインや作品に触れたり、日常生活でも視点を変えて物事を観察するなど知識や経験の蓄積と意識付けで変わってきます。
『目が肥える』という言葉がありますが、デザインや作品の良し悪しを見分けるのはセンスを磨くことだと思います。
観て、触って考えるバッグのデザイン
Storyboardでホームページやチラシをデザインすることはあってもバッグは初めての挑戦。
デザインの勉強は多くの作品を観察したり触れたりすることが大事。
バッグブランドのサイトやカタログをみたり、デパートやバッグ専門店に足を運び手に取りデザインをチェック。
街中でバッグを持っている人を観察し、気づいたところはメモするなど観て、触って考えることを意識付けました。
自分自身が使いたいと思えるものを考えながら頭の中で妄想を膨らませていきます。
小さなパーツから金具までブランドイメージを考えたデザイン
頭の中の漠然としたバッグのイメージのラフをスケッチブックに描いてデザインを具体化。
ブランドイメージに合うデザインを意識してまとめていきます。
どんなに良いデザインでもmoeのイメージにマッチしなければブランドの強化につながりません。
moeというブランドの世界観が伝わるバッグをつくる事が重要です。
丸みと柔らさを意識したmoeのデザイン
ロゴからも分かるようにmoeは丸みと柔らかさを意識したデザイン。
moeのホームページのボタンや画像の角も少しだけ「面取り」をして丸みを付けています。
同様にバッグのデザインでもフタや金具などのパーツにも丸みを意識しています。
メッセンジャーバッグ「colitish」やクラッチバッグ「snazzy」はフタや本体に丸みを意識したデザインのバッグです。
ちょっとしたデザイン知識ですが、シンプルな四角形の図形で四隅が直角より丸いほうがやさしく柔らかい印象を与えます。
逆に鋭角で尖ったものは、シャープで硬さやハードな印象を与えます。
小さなパーツ一つでも全体のデザインに影響を与えます。
デザインするバッグは自分たちのブランドイメージを反映させることで価値や評価が高まります。
価値や評価が高まることで、そのブランドが支持され、信頼が高まり、顧客から選ばれます。
いくらかっこいいデザインでもそれまでのブランドイメージと異なってしまうと、信頼や評価が損なわれてしまいます。
センスが問われるバッグの小物パーツと金具選び
バッグのデザインで毎回悩むポケットやフタなどの小物パーツのデザインや金具の選定。
全体のイメージはいい感じで進むのですが、持ち手やポケットなど個々のパーツは苦労します。
小物パーツはアクセントになるので、取り付け位置や形状や大きさなどでバッグの雰囲気は変わってきます。
トートバッグ「bae」のドイツホックやクラッチバッグ「snazzy」は機能とアクセントを意識して採用した金具です。
また、ビジネストートタイプの「amico」はbaeと本体部分は同じデザインでsproutトートバッグをベースにバリエーションを広げたバッグです。
個性的なデザインのバッグといっても使いやすさを考えると、部分的には同じように見えます。
また、ボタンやホックなどの金具も市販のものを使うので類似します。
なので、小物パーツや金具の選定はセンスを問われます。
バッグ全体と個々のパーツのデザインや金具の選定の組合わせはブランドとしての個性やオリジナル感や雰囲気を大きく左右します。
ブランドイメージに合ったデザインと素材がそろって完成する革のバッグ
ブランドイメージを考えたデザインをもとに革工房の職人さんと試作品の打ち合わせ。
イラストのデザインが実際に制作可能か、強度や縫製など色々とポイントを整理してデザインの修正と打ち合わせを繰り返します。
そしてバッグの試作。必要に応じデザインや仕様を修正してmoeブランドのバッグが完成します。
同じデザインでも素材とブランド力で雰囲気が変わるバッグ
完成はデザインしたバッグが実際に手に取ることができたという事ではありません。
ブランドイメージを考えて作った革の素材を使って完成します。
バッグの革素材も表面の質感から厚み、カラーバリエーションなどブランドイメージを考えて作られています。
同じデザインでも素材や仕上げ、色合いが異なると雰囲気が変わってしまいます。
バッグや財布など類似するデザインが多くあっても違って見えるのは素材や作り手の技術や思いが異なるからです。
そして、ブランド力によって価値や評価も変わってきます。
ブランドが持つ世界観がデザインのベースをつくる
最初のデザインとなった3Wayバッグ「urchin」はすごく悩みました。
バッグとしての個性と使いやすさのバランスに加え、3Wayバッグの機能も意識しました。
いろんなパターンのラフを描きましたが、何処かで見たようなデザインだったり、客観的に「使ってみたい」と思えるかなど自問自答の繰り返し。
煮詰まり過ぎて悩んだ時、ロゴをみてmoeというブランドの世界観を改めて見つめ直しました。
作るのはビジネスやプライベートでも使うバッグでアートのように鑑賞してもらうものではない。
説明書もなく使える簡単な機能で金具などのパーツも同じなので、ちょっとしたところでmoeらしさを出そうと思いました。
目立たないところにも、ブランドの持つ雰囲気や世界観を反映させる。
そう考えていくと気がつけばバッグ全体でmoeらしい雰囲気を持つようになりました。
控えめに華やかで品がある、ありそうでなさそうなデザインのバッグ。
これからもmoeの世界観をアピールできるようなバッグを作っていきたいと思います。