そうだ、事業計画をつくろう-前編

そうだ、事業計画をつくろう-前編

革のPCバッグを事業として考えてみる

バッグの試作品を作ろうとする一方で絶えず意識していた課題、それが資金の問題でした。バッグの試作品開発で提携先の鞄工場や工房さんを探しながら調べてみるとOEMで委託するにしても1種類のバッグで1ロット最低でも20〜30個。バッグ1つの製造コストを1万円にしても20〜30万円の費用になります。

バッグの制作コストに加えて素材の革の調達資金の問題も絡んできます。。1枚の革の半裁(動物1頭で背中を中心に左右に分割したもの)でバッグ2〜3個分作れるとして1ロットあたり約10枚の半裁が必要になります。

実際のバッグ1個の製造コスト1万円も単純に計算しやすいと思っただけなので1万円では無理。そう考えると革の調達含めて1ロットで50〜100万円程度は見込まないといけない。商品ラインナップを考えるとオープンに向けての一気にハードルが上がってしまいます。

試作品を作るにしてもバッグ1つでデザインを含めて約30万円程度といわれ、厳しい現実を突きつけられました。悩みましたが商品となるPCバッグをつくらないと話にならないと思い、いいものが一つできれば量産にしろ、資金にしろ、その時に考えることにしました。

とりあえず試作となる革のPCバッグを1個作ることに集中しました。幸いにも本業のWEBサイト制作やアプリ開発の方で多少は利益でていたので実際のオープンを1年ちょとくらいの期間でやっていけばなんとかなるだろうと思いました。

補助金について考える

そんな時、ふと思い出したことがあります。バッグの試作の委託について某服飾などを扱う学校に相談に行った際、助成金・補助金の話題が出ました。当時はバッグの試作のことしか頭になかったので気に留めなかったのですが今になって「補助金」というキーワードがフラッシュバッグしてきました。

ということで早速どんな補助金があるかミラサポのサイトで検索してみました。創業・第二創業補助金、ものづくり・商業・サービス革新補助金など国や地方などでいろんな補助金や助成金があることにびっくりしました。

その中で使えそうなのが「小規模事業者持続化補助金」。個人事業主なども利用可能で補助金を利用するビジネスモデルに対して主に販売促進に対する事柄を対象に75万円までの費用に対して2/3の50万円まで補助してくれるとのこと。なので展示会の出店費用やホームページ、チラシ、広告の他、試作品開発も対象になります。

資料や申請書の雛形をダウンロードして目を通して見たけどとっつきにくい言葉や漢字ばかりでした。申請書は補助金の対象となる事業の内容を細々と書き綴らないといけません。

さらに調べてみると事業計画の策定や補助金・助成金等の指導や相談、サポートは認定支援機関というものがあって地元では商工会議所がそれにあたるとのこと。

2014年4月。とりあえず地元の商工会議所に行って相談してみることにしました。担当部署の方に小規模事業者持続化補助金のお話を伺う前に革のPCバッグの事業について説明しました。すると「ターゲットは?」「どんなバッグなの?」「何故革でつくるの?」「どんな特長があるの?」「ふつうのバッグと何が違うの?」「ニーズはあるの?」などあれこれ質問されました。

しかしながら、質問に対して明確に答える事ができませんでした。というか、自身の中でもPCバッグの仕様に関して明確に固まっていない部分があり、普通の布やビニールのバッグとの差別化、またターゲットやニーズなど漠然としたレベルでしかありませんでした。

ただ自分だけの革のPCバッグが欲しいという気持ちだけで行動していたということを痛感。欲しいだけなら作って満足して終わりですが自分がやろうとしているのは事業。人にその商品・サービスの価値を認めてもらい、使ってもらうことをしようとしていることに気が付きました。

何も考えてなかった事業計画。これはまずい・・・

質問された内容はいわば「そもそも論」的な話。まして補助金・助成金はいわば他人からお金を援助してもらうこと。援助する側からしてみれば訳の分からないものにお金は出さないのは当たり前。これって補助金を申請する以前の事柄ですね。

まずは事業としての骨格を固めて自分で整理しよう。そうでないとまともなPCバッグすら形にできない。自分の考えをまとめる。分析する、問題点を把握する、そしてたたき台となる事業計画をつくることにしました。

(続く)