ようやくリリースされた革のクラッチバッグ「snazzy」。
ビジネスでも使えるA4サイズの書類やノートPC、タブレットが入る少し大きいサイズのクラッチバッグ。
デザインもビジネスやフォーマルだけでなく、ファッションアイテムも意識。シンプルでも個性をアピールしたいと考えました。
苦労したのが、バッグ正面のフタと本体の結合部分。錠前式になったのですが完成直後に予想外の事態が発生。
なんとか解決でき、結果的にはより完成度の高いクラッチバッグとなりました。
クラッチバッグはファッションとして「見せる」ことがポイントのバッグなので、用途に応じてバッグを使い分けるなら、ひとつは持っておきたいバッグです。
クラッチバッグ開発のきっかけ。ビジネスでもファッションでも使えるタイプの異なる商品ラインアップ
スタートはビジネスバッグにも使えるカジュアルタイプのバッグのラインアップ
オープン時の商品ラインアップは、普段使いしながらビジネスでも活用できるバッグで需要も多いと思われるものを優先することにしました。
そして、moeのオープンでファーストリリースとなったのが15インチのノートPCが入る2つのバッグ。
ひとつは、バッグでは定番でメンズ、レディースから人気があり、最近ではビジネスバッグとしても利用されるトートバッグ「sprout」。
もう一つは、手提げや斜めがけのショルダースタイルなど、その時々によってスタイルをチェンジするビジネスバッグ向きの3Wayバッグ「urchin」。
リュックやボストンバッグも考えましたが、仕事で使う革のバッグで気に入ったデザインがないことがきっかけだったのでPCが入り、ビジネスバッグにも使えるカジュアルなバッグのラインアップとなりました。
フォーマルなビジネスバッグか、おしゃれなカジュアルバッグか
ファーストリリースのトート、3Wayバッグはビジネス、カジュアルの両対応で、次のリリースではブリーフケースのようなビジネスバッグ専用でフォーマルなものを考えました。
また、バッグのサイズに関しては13インチのノートPCが入る大きさにしたいと思いました。
13インチノートPCならA4サイズの書類も入るのでビジネス向き。ということでフォーマルなブリーフケースタイプのビジネスバッグを・・・と思ったのですが大きな問題がありました。
フォーマルなブリーフケースは凄くいいと思うのですが、紳士的なイメージの高級感に加え、細部の仕様や機能を考えると、コスト高で価格としても高額になってしまいます。
高額な商品もラインアップに加えたいのですが、セカンドリリースは、ファーストリリースのトートや3Wayバッグより価格を抑えたラインアップにしたいと考えていました。
最終的に、本格的なブリーフケースは時期尚早と判断して次回以降のリリースで考えることにして、カジュアルバッグを作ろうということになりました。
おしゃれなクラッチバッグをPCが入るビジネスでも使えるバッグに
カジュアルなバッグということで、3Wayやトートバッグと違うタイプのバッグを考えました。
リュックはコスト面から今回は対象から外し、ショルダーバッグやメッセンジャーバッグ、ボディバッグをリストアップしてそれぞれについて検討しました。
いずれも、moeとして作りたいバッグです。
そのなかで目にとまったのがクラッチバッグでした。ハンドバッグとも呼ばれ、化粧品や財布など小物を持ち回るレディース向けのイメージがありますが、最近ではメンズのファッションアイテムとしても人気があります。
普通のバッグは荷物をたくさん詰め込むことが主目的ですが、必要以上に荷物を詰め込まず、スタイリッシュに振る舞い、おしゃれを楽しむのがクラッチバッグの特徴。
また、肩に斜めがけしたり、背中に背負うのではなく、つかむ、しっかり握る『clutch』の語源のとおり、バッグ本体を抱え込み、脇に挟むような感じで持つスタイルで、他のバッグと変わっていて面白いと思いました。
クラッチバッグやハンドバッグは、プライベートなファッションアイテムとして、パーティなどのフォーマルな場面でも使われるので、近場の打ち合わせやハイクラスの管理職が使うビジネスバッグにも使えそうです。
フォーマルにも使え、おしゃれも楽しめるクラッチバッグ。これをPCが入るビジネスバッグにも対応できるmoeのセカンドリリースバッグとして作ることにしました。
フォーマルの堅さとカジュアルの柔らかさ、個性も大事にしたいクラッチバッグのデザイン
クラッチバッグのデザインに関しては、仕様を含めてさまざまなバッグをチェックしました。
メンズ向けで縦長で折り曲げるタイプが多く、厚みも3〜4cm程度でバッグというよりドキュメントケースや封筒タイプが多いように思いました。
カジュアルなファッションタイプだと思うのですが、実際に使うなら雑誌を入れて持ち歩くのでしょうか。
縦長だと財布や手帳のような小さいものは取り出しにくく、ビジネスで使うなら契約の締結など要件が決まっている短時間で要件など事務的な用途になりそうです。
プライベートで使うなら、もう少し厚みは欲しいですね。サイズはレディースのハンドバッグに近いコンパクトなものもありますが、A4サイズの雑誌が入る程度のものが結構多いと思いました。
また、素材もビニールや帆布の他、エナメルというか光沢のある派手なものも見られます。パーティ用などで使いそうですが、こうやって見比べるとカジュアルからフォーマルまで対応できる革素材が一番ですね。
丸みを意識したデザイン。フォーマルと柔らかさを追求したモダンなイメージのクラッチバッグ
デザインはビジネス向けを意識してブリーフケースをベースに考えました。そして、採用したのがオーソドックスなフタ付きタイプ。
フタ付きタイプを採用したのは、レーザー刻印の名入れサービスで本体以外に名入れに適したパーツが必要なためです。
名入れの位置は、「かぶせ」と呼ばれるバッグ本体を多い隠すフタの右端。持ち歩いても目に付く良いポジションです。
バッグのデザインは柔らかさを意識しました。moeではブランドロゴやホームページのデザインも含め、「丸み」を意識しています。
バッグのデザインでも各パーツの角は面取りを施し、フタなど大きなパーツは意識して大きめの丸みにしています。
わん曲した底面に持ち手を固定するベルトで柔らかさとモダンなイメージをアピール
今回のクラッチバッグで特徴的なのは、大きく弧を描くようにわん曲したバッグの底面です。
フォーマルでクラシックなスタイルのフタ付きのブリーフケースのままだと、お堅い印象が強く、個性も感じられないのでデザインに遊びが欲しいと思いました。
底面が普通の平面だと見た目がクラシカルなブリーフケースと変らないので、持ち抱えるときに手付きを良くするために丸みのある形状に。
さらに、クラッチバッグは持つ際に、ストラップやベルトなどで手首や指を固定するので、指や手を通すベルトを設置しました。
マチ幅もPCやタブレットに加えて書類や雑誌、筆記用具などが入るように7.5cmに設定、形状も高級感と個性をアピールするステマチ風のデザイン。
ブリーフケースに、わん曲した底面、大きめに丸みを付けたかぶせのフタ、クラシカルでフォーマルな雰囲気と柔らかさを感じさせるモダンなデザイン。
あまりないタイプのデザインですが、強烈に個性をアピールするのでなく、さりげなく印象づけるようなバッグになりました。
苦労して採用したバッグの錠前金具。完成直後に発生した予想外の事態
今回のクラッチバッグのデザインで苦労したのが、バッグ本体とフタの結合部分。バッグの顔となる部分なのでかなり試行錯誤しました。
最初は、革のベルトや差し込みとなる突起部をフタにつけて、バッグ本体にガイドつけるなど金具を使わないデザインを考えたのですが、インパクトがなく、かなり地味な印象でした。
何パターンかデザインを考えたのですが、いずれも華やかさに欠けるので、アクセントになるような金具を使うことにしました。
金具に関しては、レーザークラフトの金具を取り扱う複数のサイトをチェック。マグネット式のボタンや、ドイツホック、差し込み式などあるなかで錠前をチョイス。バッグのイメージに合う丸みのあるものを探しました。
イメージに合うものを見つけてサンプルを購入。試作を行い実際の出来上がりを確認。これでいける!と確信して、撮影・ディスプレイ用にカラーバリエーションの制作にかかることにしました。
予想外の事態、錠前金具の在庫切れ
カラーバリエション用にバッグを制作するため、購入したサイトで追加で錠前金具を発注しようとアクセスする「在庫切れ」の表示。
電話で問い合わせたところ、海外メーカーなのでいつ再入荷になるかわからないということでした。
目の前が真っ暗になるくらいの衝撃でした(笑)。どうしよう・・・と落ち込みましたが、悩んでいても仕方がないので別のデザインの錠前金具を探すことにしました。
今回はデザインだけでなく、入荷、取り寄せで問合せがしやすい国内メーカーに絞り込みました。考えようによっては、リリースした後のことを考えるとリクス回避ということでは良かったかと思います。
最終的に決まったのが現在の錠前金具。鍵付きでロックができ、本体部とフタの部分で大小の丸を組み合わせるようなデザインで結果的には完成度の高いものになったと思います。
おしゃれなメンズ、レディースに使ってもらいたい、コードネームは「粋で、かっこいい」意味を持つsnazzy
不測の事態で、錠前金具を変更することになりましたが結果オーライでクラッチバッグの完成となりました。
カラーバリエーションは、キャメル、レンガ、チャコールグレーの3色。moeのカラーバリエーションではバーミリオン(朱色)があるのですが、クラッチバッグではラインアップから外しました。
レディース向けのカラーですが、バッグのイメージに合わないというか、他のカラーと並べると浮いた存在になるような気がしました(笑)
レディースならコーディネートも容易なキャメル。メンズでおしゃれ、紳士的なイメージをアピールするならレンガ、ビジネス主体で利用できるチャコールグレー。いずれも適度な明るさと濃淡のあるmoeらしいカラーです。
クラッチバッグはかっこよくキメる!粋でおしゃれなsnazzy
カラーバリエーションもそろい、後はネーミング。moeでは、それぞれのバッグに名前を付けています。
名前を付ければ、バッグに個性を持たせることができ、思い入れも強くなると思っています。
ネーミングのネタについては、バッグのデザインを考える際に、moeのブランドの事を考えながらイメージしていきますが、思いついたり、気になったキーワードをメモしていきます。
そして、メモしておいたキーワードと実際に完成したバッグを見ながらイメージに合うキーワードで方向性の同じものを絞り込み、Goole翻訳などを使って英語やイタリア語などで語感の良いものを探していきます。
そして名付けたのがsnazzy。英語で「かっこいい、おしゃれな」という意味があり、センスの良い人やものを形容する言葉。
例えば「snazzy dresser」は「着こなし上手で、おしゃれな人」という表現となり、荷物を少なめにしてスタイリッシュにキメるクラッチバッグにピッタリの言葉です。
また、snazzyには「粋な(いきな)」という、古くなってもかっこいいという意味もあるようで、長く使えて、愛着も増す革のバッグにはぴったりの言葉だと思いました。
少し大きめで、PCやタブレットが入る革のクラッチバッグsnazzy。メンズ、レディースかかわらず印象に残るバッグです。かっこよく、おしゃれにキメてくださいませ(笑)。