ブランド名の考え方、「moe」誕生のお話

革のPCバッグmoe

moe(モエ)は「クリエイターと革」をテーマにした革のPCバッグのブランドです。

このブランド名ですが、決定したのは事業立ち上げに取り組み始めてから約一年後の2014年の秋でした。

事業計画書の作成でイメージはありながらもなかなか決まらなかったブランド名。

革のバッグの試作など事業が進むに連れてブランドの方向性が具体化し、moeというブランド名になりました。

ブランド名ありきではなく、革のPCバッグをつくりたかったから始めた事業

よく「moeという名前は最初から決めていたいんですか」ということを尋ねられることがあります。

事業に取り組んだきっかけは、気に入った革のPCバッグがなく、それなら作って事業にしたら面白いかもしれないという考えからでした。

革のPCバッグ事業を始める時に、事業に対するビジョンや具体的な戦略などを書き起こした事業計画を策定したのですが、その時はブランド名は決まっていませんでした。

最初の事業計画策定時にはブランド名なし。もやもやしながらも事業を進める

当初の事業計画書は「素材が革で作られたPCバッグ」という特徴で他の革のバッグやPCバッグに対して差別化を図ることと、製品のコンセプトやイメージを考えることで精一杯でした。

最初の事業計画で決めてしまおうと思っていましたが、本業のWEB制作のStoryboardとしての仕事もあり、空いている時にじっくり考えようとすると革のPCバッグ事業が途切れがちになって自然消滅してしまいそうだったので、事業を進めながら考えていくことにしました。

事業の進展で引くに引けない状況になれば否が応でも考えるし、思いつくだろうと考えていました(笑)。

ブランド名を決めていないので、漠然としたもやもや感を持ちながら事業を進めていきました。

テレビや雑誌、街中の看板や電車のつり革広告などで目に止まるキーワドがあれば考え込んだりメモしたりなどしていました。

立ち上げが進むにつれてブランド名を具体化する必要に迫られる

開発が進む革のPCバッグ

事業の立ち上げで最初に苦労したのは革のPCバッグの試作開発でした。

苦労の末、3Wayバッグの試作が始まり、生産体制もオーダーメイドの受注生産方式に決定してオープンが現実味を増すようになると資金面の問題を意識するようになりました。

オープンではトートバッグや3Wayバッグタイプの革のPCバッグなどの商品開発だけではありません。

WEBサイトの制作、商材写真の撮影や広報費などが必要で、地元の商工会議所にも相談しながら補助金や助成金などに取り組んでいました。

そんなおり、兵庫県のホームページで経営革新計画というものを見つけました。

経営革新計画とは、中小企業が既存事業とは別に新たな新事業を立ち上げに関して、事業資金の融資や販路の開拓などをサポートしてくれる制度です。

これに注目して申請してみようと思い、商工会議所や県の担当者にアドバイスしていただきながら申請書をまとめました。

最終的に経営革新計画は採択されました。詳細な内容は別の機会にお話したいと思います。

事業計画書は既にあったのですぐに申請できると思ったのですが、申請する事業計画書では商品やサービスの特徴、事業の実現性などより具体的な内容を求められました。

事業計画書を何度も書き直しました。その中で、名入れや縫製前の革にロゴやイラストをプリントするオンリーワンバッグサービスが生まれました。

このように、いろいろな事がより具体化されるようになり、いよいよ正式なブランド名を決めることにしました。

文字数が少なくて覚えやすい、使いやすいブランド名を考える

文字数が少なくて販売促進を使いやすいブランド名を考える

頭の中のもやもやしたイメージを言葉として具体化するって難しいですね。

これまでメモしていたキーワードを見返しながら頭の中を整理していきます。

方針としては日本語でキーワードを考え、英語やイタリア語など外国の言葉に置き換えて発音の響きも考えて適度な文字数に収まるようします。

WEBサイトのURLやメールアドレスで覚えやすいのと、チラシや名刺などをデザインする時に使いやすいようにしたいと考えました。

メモしていたキーワードは少しピントがずれているように感じたものが多くありました。

かなり初期の頃に控えたものも多く、事業計画書を書き直していくうちに気づいたこと、考え直したこともあったのでブランド名の対象から外れていると思いました。

あらためて候補となるキーワードをリストアップしなおしました。

当初は革のPCバッグ事業全体でイメージしていたのですが、バッグの製品化で考えたデザインやカラーバリエーション、事業計画書の見直しで新たに追加したポイントなどを総括して、どのようなバッグを作って提供したいか、使ってくれる人のイメージなども思い描くようにしました。

ちょと迷ったキーワード『粋(いき)』

ブランド名で気になったキーワード「粋」

まず、キーワードのひねり出しで素材の革に注目しました。

素材の革は子供の頃から慣れ親しんだ姫路の革。身近で当たり前のように存在していましたが、PCバッグの商品化で、仕上げや厚さ、手触りなどあらためて見直しました。

革は丈夫で長持ちする素材、使い込んで古くなっても汚れや傷などが味わい深く感じられる素材です。

『いつまでも使える素敵な素材』このフレーズをコンパクトにまとめた単語や類似語を調べました。

その中で『粋(いき)』という言葉に目がとまりました。

時代劇や落語で「あの人は粋だねぇ」というのがありますが「身なりや振る舞いが洗練されていて、かっこいい」という意味のようです。

これは良いと思いました。粋という言葉は、しゃれているし、遊びゴゴロも感じられます。

個人的には「古くなってもかっこいい」イメージもあり、ブランド名にはぴったりだと思いました。

しかしながら、最終的にはブランド名とはなりませんでした。

「粋」という言葉は悪くなかったのですが、漢字で表したときに馴染みがあるようでないように思いました。

外国語の単語も調べたのですが適当な表現の言葉が見つからず、発音もしっくりするものがありませんでした。

また、「粋」という言葉は、センスが良くていいのですが、自身が考えるブランドのイメージに対して、エッジが利きすぎているというかとんがり過ぎるように感じ、少し違うと思いました。

イメージにぴったりハマった「moe」、そしてロゴ、革のPCバッグmoeの誕生

こうして「粋」という言葉は、ブランド名の候補から外れましたが考え方としては悪くないと思いました。

この調子でアプローチしていこうと思いました。

「粋」のイメージより、もう少し弱いというか柔らかさや品格が欲しい。

バッグのデザインや色、ターゲットとなるユーザー像を考え、ぴったりはまる世界観を想像していきました。

そして一つのキーワードが見えてきました。それが『萌え(モエ)』でした。

ふわっとした淡いイメージ、そして品の良さを感じる「萌え」という言葉

ブランド名のイメージ「萌え」

「萌え」という言葉は、ネットユーザーやサブカルチャーに対しては馴染みのある言葉で、主にアニメやマンガのキャラクターなどに対する強烈な想い入れ、好意のような意味合いを持ってします。

クリエイターや長時間インターネットやパソコンに触れるユーザーをターゲットにしているので、ブランド名ありきで事業を始めたのかと尋ねられるのはこのためです。

結果として「萌え」という言葉はこの事業に気持ちのいい程にぴったりあてはあると思いました。

カッコ良さやセンスに関する直接的な意味はありませんが、ターゲットユーザーには柔らかさやかわいいイメージを持つように思いました。

また色彩をイメージした時の明るさや色合い、ふわっとした淡いイメージ、そして少しばかりの品の良さを感じました。

本来の意味には「草木が芽吹く」意味があり、希望や未来を感じさせるのもポイントになりました。

早速「萌え」という言葉で外国語を調べてみました。

やはりというか、ぴったりとマッチする単語は多くありませんでした。発音、文字数いくつか候補を絞ったのですがブランド名としたときに、ちょっと違うという感じがしました。

調べる中で「sprout」という英単語を目にしました。

直接的には「草木が芽吹く」というな意味で候補にしようと思いましたが、ブランド名でなく後にトートバッグタイプのPCバッグのコードネームとして採用しました。

最終的に決まったのがローマ字表記の「moe」。

キーワードとしてかなり気に入っていたのと、日本のアニメやポップカルチャーを通じて「萌え(moe)」も認識があるようなのでウケ狙いも期待できそうです。

「moe.com」や「moe.jp」といったWEBサイトのドメインでは残念ながら取得済みで「moe-bag.jp」にしましたが程よい文字数で取り扱い製品もイメージできるの良いかと思います。

個性的でインパクトもあるロゴ、moeの誕生

事業計画の見直しから生まれたブランド名「moe」。

経営革新計画ではブランド名を明記して申請しました。経営革新計画は採択されましたがこの時点ではロゴデザインは決まっていませんでした。

ロゴデザインは、トートバッグ、3Wayバッグの開発が終了し、オープンに向けてWEBサイトやカタログなどの広報・ブランディングの準備段階に決定しました。

ロゴデザインはアイヨ クリエイティブエンタテインメントのはたなかさんにお願いしました。

moe立ち上げの早い時期よりご相談させていただいており、moeのブランドイメージや方向性についてもくみ取っていただき、複数案のロゴを提示していただきました。

いずれも個性や柔らかさ、インパクトのあるロゴで「Produce by Storyboard MADE IN JAPAN」という、WEB制作のStoryboardも入っており印象的でした。

どれもお気に入りだったのですが最終的に決定したのが現在のロゴになります。

事業の立上げから約2年近くになってようやく全てが揃いました。

これから約3カ月後の2016年12月にmoeはオープンします。