革のトートバッグを作る / 便利なPCケース【トートバッグ開発2】

sproutトート付属のPCケース

前回の試作でトートバッグ外観は完成。いよいよ、バッグの内側のポケットやPC・タブレットの収納機能の開発です。

スマートフォンなどの小物の出し入れを考えた外側のポケットやバッグの自立などビジネスバッグとしての使用も意識したトートバッグの開発。

今回は、このトートバッグの目玉機能である取り外し式PCケースの開発。PCケースはバッグ内側に取り付けるので仕切り代わりになり、整理した収納ができる便利な機能。素材選びなどPCケースの開発は予想外に苦労しました。

苦労を重ねたPCが入る革のトートバッグの完成。最後のタスクはブランディングを考えたトートのカラーバリエーションとコードネームです。

PCが入る革のトートバッグの基本的な仕様について

moeの革のバッグはパソコンやタブレットの収納をひとつの特徴としていますが、PCバッグとしてノートPCやタブレットだけでなく、マウスや充電器、USBメモリなど関連する小物の収納も重要だと考えています。

ビジネスバッグとしても使えるように、歩きながらでもスマートフォンや定期券入れなどを取り出せるように正面や外側のバッグ本体のマチ(側面部)にポケットを設置しました。

トートバッグの外観も意図的に横長にしています。縦長だと荷物を詰め込んだときに、上からのぞきこんで見ても小物などは埋没して探しにくいだろうと考えました。

マウスやメモリなど小物の収納を考えた底の浅いポケット

moeの革のトートバッグ。底を浅くしたポケット

バッグの内側もサイズの異なる複数のタイプのポケットを設置。バッグを開いたときに、上からポケットの収納物を確認できるように正面裏側のサイズ別のポケットは底を浅くしています。

ポケットの深さや幅は、充電器やメモリなど今後のPC周辺機器の動向にも合わせて見なおしていきたいですね。加えて革のハギレで取り付けたペン挿しを設置しました。

ペン挿しはなくてもいいかと思ったのですが、知り合いのクリエイターさんに意見を求めたときに、あったほうがいいという意見が多かったので設置しました。

考えてみるとノートPCやスマートフォンを使いだしてから、ペンケースのような筆記用具って意識しなくなっていたような気がします。

トートバッグの注目機能のPCケースの開発

トートバッグの内側はurchin3Wayバッグと同じように、ノートPCやタブレットなどの精密機器や貴重品の保護のために落下や衝突などの衝撃を緩和するようにしたいと思いました。

対策の一つとして、バッグの底にクッション材を敷き詰めました。さらに、トートバッグの底面に鋲の代わりに革のパッチを両端と中央に取付ています。

床に置いても倒れないバッグというのはビジネスバッグとしては大事な条件のひとつ。客先や就職活動の面接で床に置いたバッグが自立せずに倒れたままというのは印象としてはよくありません。

ビジネストートとしても使えるように床に置いても自立するバッグを目指しました。

安定性は増すが自由度が制限されるバッグの仕切り

いよいよトートバッグの目玉機能のPCケースの試作。PCやタブレットを入れてもバッグ本体が倒れずに自立させたいと思っていたので構想段階からPC収納の仕様については考えていました。

最初はurchin3WayのようにノートPC・タブレット収納部をバッグ内部に埋め込むことを考えました。その場合、バッグ内部に仕切りができてパーテーションのように区切られます。

仕切りだと荷物が整理しやすく、バッグの強度や自立について安定性は増しますが、コスト高になります。また、大きい荷物や分厚い書籍、資料などが入らなくなり、自由度がなく収納物が制限されることになります。

トートバッグ本体に固定するPCケース

仕切りの役割とトートバッグの自立を強化する取外し式PCケース

トートバッグは自由度が高く、たくさん物が入るイメージなのでそれは避けたいと思い、次に考えたのが専用のPCケースを作り、それをトートバッグ本体に取り外し式で設置する方法でした。

設置ポイントはノートPC・タブレットを収納してケースを固定した時のトートバッグの重心を考えてバッグのマチ幅に対して中央部に固定できるようにしました。

この仕様ならPCケースがバッグの仕切りの役割を果たし、荷物を整理して収納することが可能になります。そしてPCケースを外せば、バッグの中は一つの大きなスペースになり大きいサイズの荷物も収納できます。

さらに、PCケースをトートバッグから取外しPCと書類を詰め込めばクラッチバッグ代わりになり、社内や近場の打ち合わせなどに使えそうです。

PCケースの開発はトートバッグ本体と同時進行で行いました。トートバッグ本体への取付はPCケースの両サイドにホック式のボタンでトートバッグの内側に固定するようにしました。

PCケースを固定した際のバッグ内部での安定性を心配しましたが、バッグ本体の底にクッション材を詰めたことにより、PCやタブレットの重さでクッションに沈み込むので結果的に安定性が増し、トートバッグの自立の強化にもつながりました。

革のバッグとの素材のミスマッチ、PCケースの素材で試行錯誤

PCケースについて取り外し式を採用したのは良かったのですが、ケースの素材についてはかなり迷走してしまいました。

当初はウレタンや低反発素材などを考えました。しかし、びっくりするほどの高価格。トートバッグの開発中に好みの裏地を選択できるサービスが生まれますが、裏地の素材として使う西脇市の播州織と比較できない価格に驚きました。

低反発素材は播州織と同じように1メートル単位で単価設定されているものが多いのですが、購入単位は10mまたはロット単位だったりするため断念しました。

革のトートバッグにマッチした革のPCケース

一方で、仮に低反発素材を使っても質感などでイメージする仕上がりになるだろうかという不安もありました。低反発素材には黒やグレーのような色が少なく、安っぽく見えてしまいそうでした。

PCケースの開発がメインになる頃には、西脇の播州織を使ったオーダーメイドサービスのプランができていたので裏地に合わせてPCケースを作ってみましたが、かなり微妙な結果でした。

キルティングで2枚の裏地の間に綿を挟み込んで縫い上げてつくるのですが、キルティングの加工でかなり時間がかかってしまいコスト高になりました。

また使用する裏地の柄によって出来栄えが変わり、かなり安っぽい仕上がりで革のバッグと比較して完全にミスマッチ状態でした。

試行錯誤するmoeのPCが入るトートバッグ用ケース

PCケース開発で完全に壁にぶち当たりました。今のままでは素材を選定しても加工方法などでコスト高になるし、色や柄も考えないと革のバッグに対して浮いた状態になってしまう。

そのような折に、タンナーさんから原点に戻って革を使ってみてはという案がでました。革は衝撃に対して吸収したり、和らげる特性もあり、熱や火にも強い。

トートバッグ本体に対して色の選定さえ間違わなければ問題はないだろうと思いました。最終的にPCケースの外側はさまざまな色に合わせやすい無彩色のグレーや黒系統の革を使うことにしました。

仕様が固まったので再びPCケースの試作を行いました。本体は黒に近いグレーの革を使いましたがタンナー(皮革工)さんのアイディアで型押しを施した革を使用しました。

トートバッグを並べても外見的に違和感はなく、裏地もトートバッグで使った同じ柄の裏地を革のPCケースの裏地に使うことで統一感も伝わるようになりました。

鮮やかな裏地のmoeの革バッグ

PCケースに使う型押しの革

PCを収納したmoeの革のトートバッグ付属PCケース

型押し」とは、革の仕上げ工程で使われる専用の機械で革の表面に細やかなシワや模様を付けた加工で独特の質感を表現することができます。模様やシワは色々なパターンがあり、ワニ皮のようなクロコ調などがあります。

当初はトートバッグ本体と同じ色のもので統一しようと思ったのですが、デザイン的にイマイチ感があり、PCケース用に革素材を調達。ケース用の革の色はトートバッグ本体に合わせやすいグレー系を採用しました。

PCケース用の革の質感はタンナーさんのチョイスで柔らかくてコシのあるものにしました。そして最後に質感をよく見せるために表面に「型押し」処理を施しました。

黒に近いグレー系の革はシワなどが光にあたるとテカりやすく、反射すると安っぽく見えるのでそれを抑えるのと、トートバッグの質感に合わせて高級感を演出したいという意図がありました。

トートバッグの完成と残りの課題について

素材や仕様で迷走しながらもようやく革のPCケースが完成。型押し処理で質感もバッチリ。

ようやくトートバッグ本体と専用のPCケースの両方が出来上がりました。トートバッグの試作は3回でしたが、PCケースの試作は5回行なっていました。

ブランディングを考えたバッグのコードネームと革のカラーバリエーション

トートバッグの形と仕様は完成しましたが、肝心の商品名は決まっていませんでした。

3Wayバッグをurchin(やんちゃ坊主、わんぱく小僧)とネーミングしたように、商品をイメージしたコードネームを付けたほうが商品として個性が感じられ、ブランディングも行いやすいと思います。

もうひとつの課題がトートバッグのカラーバリエーションです。革のカラーは革製品ではポピュラーで定番色のキャメル色と、品格があって、味わい深いレンガ色の2色があるのですが、女性向けにかわいいカラーを追加したいと考えていました。

トートバッグのコードネームや新色の革のカラーは、開発している間でも常に考え幾つか候補は浮かんでいました。

それらを参考にして決めたコードネームと新色のカラーは次回にて詳しくお話したいと思います。(続く)

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