革のトートバッグを作る / バッグの完成【トートバッグ開発3】

moeの革のトートバッグとタブレット・PCケース

前回の試作で、このトートバッグの目玉機能のPCケースが完成。取外し式でバッグ内側に固定すると仕切りになり、整理しやすく便利。素材も革を採用して素敵な革のPCケースになりました。

鋲代わりの革のパッチとバッグの中央に固定するPCケース。これらの仕様でビジネスバッグの条件であるバッグの自立が確保でき、ノートパソコンを入れても倒れないトートバッグとしてアピールポイントが増えました。

残る課題は、このトートバッグのカラーバリエーションです。現時点ではキャメルやレンガ色といった革の定番色。トートバッグはファッションアイテムとなっているだけに女性向けの色が欲しいと思いました。

もう一つの課題が、バッグの愛称、コードネーム。販促も考えてブランドイメージに合った名前を考えました。

課題は新色カラーの革の開発とトートバッグのコードネーム

PCケースも完成して、moeの革のトートバッグの試作は完了しました。

トートバッグに関してはよりコンパクトな13インチノートPC向けや、男性ビジネスマンをターゲットにしたビジネスバッグ仕様など、異なるバリエーションも開発したいと思うので今後も検討してきたいともいます。

今回のトートバッグの開発ではまだ大きなタスクが残っています。それが、このトートバッグのコードネームを考えることと、新しく革のカラーバリエーションを追加することでした。

「名は体を表す」といいますが、コードネームはこのトートバッグの固有の名称にして個性を表すユニークなもの。名前を付けたほうがプロモーションやブランディングも取り組みやすいと思います。

トートバッグ用の革の新色カラーですが、現在のmoeの革のカラーバリエーションはキャメルとレンガ色。これらの色は革製品としては多くのメーカーやブランドが扱っている定番カラー。

自社ブランドのmoeとしては独自のカラーバリエーションとして今回のトートバッグのラインアップに加えたいと考えました。

女性向けのトートバッグに欲しかったバーミリオンのカラー

鮮やかなmoeの革のバーミリオン

moeの革のレギュラーカラーのレンガとキャメル色は、色味や濃淡などそれぞれ幅の広さはありますが、おしゃれを意識した革製品では定番色。

革という言葉を聞いて、靴や財布、バッグなどいろいろな革製品を思い浮かべるとき、それらの製品で合わせてイメージされるカラーはこの2色が多いと思います。

他にも革の定番カラーといえば、高級感のある紳士物やワイルドなイメージの両方が表現できる黒色や女性向けのワインレッドなども挙げられます。

黒色の革についてはメンズファッションとして人気があり、男性からも要望もあるのですがmoeの持つふわっとした、淡い感覚のブランドイメージとは異なるのと、今回は女性向けのカラーバリエーションを考えているので対象ではありませんでした。

バーミリオンはおしゃれで名入れに最適な明るいカラー

新色の条件は、moeのコンセプトである品の良さやふわっとした感じ意識した重量感を感じる黒を抑え明るめのトーンであること、レーザー刻印の名入れサービスにも対応できることでした。

革の色見本を眺めながら、白の割合が多い明るい色の革のトートバッグ、イメージとしてレディースファッションを意識した赤またはピンク系の色を考えました。

赤系統なら明るめの淡い色を考えました。ワインレッドのように濃く深みのある色合いも素敵なのですが、少しきつめになりそうでmoeのブランドコンセプトとしては少し違うと思いました。

かわいい、かっこいいだけなく柔らかさと品の良さのある革の色

革の色見本は画材屋さんにある色見本と同じで色相、彩度、明度などで微妙な違いに着色された革のカラーチップのサンプル集です。

赤やピンクの色見本をひたすら見つめ続けると目がちかちかしましたが、赤をベースに明るさを基準にしぼりこんでいきました。そんな中で最終的に決めたカラーがバーミリオンです。

ここぞというときに持っておきたいおしゃれな色バーミリオン

バーミリオン(Vermilion)とは赤とオレンジの中間色で朱色に近い色です。

色見本でもいくつか明度を変えたサンプルが紹介されていました。少し黒が入ると落ち着いた印象となりますが重厚感が強くなり、明るくなるとアクティブというよりは派手な印象になるため程よいバランス感を感じられる明度のサンプルを見極めるのに苦労しました。

革の表面にレーザー刻印をしても焼き付け部分はくっきりと仕上がり、光沢を抑えているので写真写りもよい色です。それだけに、いくつかの革のバッグを持つ中で、ここぞというときには持っておきたい色だと思います。

多彩な色見本の中から絞り込むのに苦労しましたが、クリエイターと革がテーマのmoeとしてはブランドイメージとして欲しかった色です。

バーミリオンはバッグとして魅力的なカラーですが、一方で小さめの革アイテムに使っても面白いかと思います。特に名刺入れ財布、クラッチバッグ、ポーチなど小物や、少し小さいサイズのバッグにはけっこうハマるかと思います。

スタッフの間ではバーミリオンについて「赤い彗星」というコードネームがついています(笑)。

あの人気アニメのキャラクターにあやかったわけですがmoeというブランドは「萌え」から生まれた名前です。このようなシャレもあっていいかと思います。

男性に同系の色の自動車が売れる時代、「赤い彗星」のようにバーミリオンの革のトートバッグはおしゃれで存在感があり、洒落っ気があっていい色だと思います。

鮮やかなmoeの革のバーミリオンのトートバッグ

革の色は染色工程から。バーミリオンの色は職人さんの手作り

早速、タンナー(皮革工)さんに革のカラー見本を参考にバーミリオンカラーの革の製造を依頼しました。製造はキャメルやレンガ色と同じようにできるものだと思っていたのですが少々手間取りました。

革の色付けというのは仕上げ工程で、素の状態の革に直接色を塗装するわけではなく、薬剤などを加えるなめし工程で下地となる色を作り革を染色します。

実際の革の塗装では、熟練した職人さんの色づくりから始まります。塗装する革の数量に加え、作業時の湿度や気温の変化も考慮します。

従って、毎回の塗装で全く同じ色を作り続けるのは困難で微妙に異なってきてます。革の製造工程で最終工程に近く、非常に大事な作業となります。

製造を依頼して約一ヶ月後にバーミリオン色の革ができあがりました。早速サンプルでトートバッグを制作。出来上がりは上々イメージに近いものでした。

見た目にも艶やかで、ふわっとした感じを持ちmoeのブランドイメージに近いものだと思いました。

金具はほどんど使っていないトートバッグですが、バーミリオンカラーの相性とバッグに品も持たせたいと思い、持ち手を調節するハトメの金具やバッグの口を閉じる部分のボタンを銀メッキにしました。

トートバッグのコードネームは「萌え」のsprout

女性向けの革のカラーバリエーションとしてバーミリオンの革を追加してサンプルもバッチリ確認できました。残りはトートバッグの呼称、コードネームです。

ブランディングやプロモーションだけでなく、お客様だけでなくスタッフとしても愛着の持てる名前にしたいですよね。

コードネームに関しては、デザインを考える段階で常に頭に思い浮かべていました。名前というよりは、試作でのトートバッグの仕上がりの印象や仕様に対するアイディアといったキーワードです。

ネーミングに関しては字面や名前を読み上げたときの響きも重要だと思うのですが意味合いのほうが大事だと思います。それをキーワードとして捉え、Google翻訳や英語の辞書などをみて書き出し、候補をリストアップしました。

英語の他にも、フランス語、スペイン語、ラテン語など、いろいろな言語に翻訳された単語や表現をみてみました。

途中、化粧品やスーツ、自動車などの商品名もチェックしました。詩的で文学的な表現のものもあり、ネーミングにもやはりセンスが必要ですね。

最終的に一つの単語で表現できるものを3つに絞り込みました。ここからすぐに決めずに4〜5日間隔を開けて、ひとつに絞り込み、そしてまた数日後にその一つでいいか考え、スタッフの反応もみてようやく決定しました。

バッグの名称はブランドイメージを反映させる「萌え」

決定したトートバッグのコードネームはsprout。sproutは英語で「萌える」という意味。「萌え」の本来は意味は草木が芽吹く意味なのですがmoeではネットユーザーのイメージする「萌え」を語源にしています。

ブランド立ち上げ時から商品化したいと考えていた革のトートバッグ。今回のバッグのために新しく追加したバーミリオンの革などデザインや素材にmoeのブランドコンセプトを反映させた思い入れのある革のバッグ。まさしく「萌え」を表すsproutという単語がマッチしていると思いました。

ようやくmoeのオープンに向けた商品ラインアップが完成。「やんちゃなわんぱく小僧」の意味を持つ3Wayバッグ urchin。そして「萌え」という意味を持つsprout トートバッグ。

2つのバッグの開発で約1年半かかりました。商品が揃ったことでようやく実際のオープンに向けてた活動を開始することができます。本番はこれからです!

★最終的に完成した現在のsprout トートバッグはこちら >>