コラーゲンは、美容や健康に関心のある人がよく目にとまるキーワードの一つ。
世の中のあらゆる動物を構成する要素の一つがタンパク質。そのタンパク質の中で多く含まれる物の一つがコラーゲンであり髪の毛や皮膚、血管など動物の体を作り上げています。
お肌の美肌効果や骨粗鬆の予防にも効果のあるコラーゲンですが、実は靴やバッグを作る皮革とは深いつながりがあり、皮革の歴史と共にコラーゲンは古くから私たちの生活で使われています。
健康と美容の要、お肌と乾燥を防ぐコラーゲン
人体を構成するタンパク質の1/3がコラーゲン。
皮膚や内蔵や血管、軟骨などを形成し保持しています。美容や健康の面からみると肌のハリを保ち、乾燥を防ぐ美肌効果や骨粗鬆症の予防効果などがあげられます。
しかし、年齢とともに体内のコラーゲンは減少してしまいます。減少するコラーゲンを補うために化粧品やサプリメント、医療の分野などで研究開発が続けられています。
語源にみられるコラーゲンと皮革の関係
コラーゲンの研究は近代になってからですが古い時代から私達の生活で利用されています。
コラーゲン(Collagen)の語源はラテン語の「膠(にかわ)」を意味する「コル(col)」と、「〜のもとになる」を意味する「ゲン(gen)」が一つになった言葉のようです。
膠(にかわ)は動物の皮や骨など皮革製造の工程からでる副産物などを煮詰めて生成され接着剤などに利用されてきました。
ちなみに膠(にかわ)の純度を高めたものがゼラチンとなります。
コラーゲンを安定させるヌメ革のタンニンなめし
コラーゲンと皮革に密接につながるのがヌメ革といわれる古くからある革のなめし製法のひとつタンニンなめしがあります。
人類は太古の昔から皮を鞣す(なめす)ことで革として利用してきましたが、木や植物の根・皮に含まれるタンニンにはコラーゲンを安定させる作用がありました。
これを利用して生まれたのがタンニン剤でいっぱいにした水槽(ピット)に皮を漬け込むと腐りにくく柔らかくなるタンニンなめしでした。
このように皮革とコラーゲンについては古くからかかわりがあります。コラーゲンはあらゆる動物の皮から抽出可能です。
その中でも牛皮は生産量が多く、皮革製造工程の副産物としてコラーゲン繊維を効率よく抽出しやすいため、主要な調達源となっています。
コラーゲンからゼラチン、コラーゲンペプチドへ
皮革と密接な関係があるコラーゲン。
以前ご紹介した皮革の研究所である皮革工業技術支援センターでも研究されています。そちらでコラーゲンの研究に取り組んでいる原田さんにお話を伺いました。
コラーゲンは酵素や薬品を使っても分解されにくいのが特徴です。
また特殊な分子構造を持ち3重のらせん構造になっています。
それら分子同士の結合が強いので分解されにくいのですが加熱することで3重のらせん構造がほぐれ分解されやすくなります。
いったん分解すると元に戻すことはできませんがコラーゲンのらせん構造を一本ずつほぐしたものがゼラチンであり、それらを短くきったものがコラーゲンペプチドになります。
それぞれの分解・抽出段階に応じて用途なども異なってきます。
3重のらせん構造を持つコラーゲンは化粧品や高度な医療器具などに使われますが、抽出作業が難しく大変コストがかかります。
コラーゲンのらせん構造をほどいたゼラチンは食品・医薬品の他、接着剤や写真のフィルムや印画紙などに、さらにゼラチンを短く切った粒状のコラーゲンペプチドは体内に吸収されやすくサプリメントに使われたりなど、さまざまな分野で利用されています。
皮革もタンパク質でできているのでコラーゲンと密接な関係があるのは当然なのですが皮革製造の副産物がそのような使われ方をしているのは驚きました。
他にも調べれば以外なものに使われていたりするかもしれませんね。