兵庫県が支援する皮革の専門機関、皮革工業技術支援センター
今回は姫路にある皮革の研究施設、皮革工業技術支援センターをご紹介します。
姫路は歴史と伝統のある白鞣し(しろなめし)に始まる日本の皮革産業発祥の地。皮革工業技術支援センターは皮革産業を支援するべく兵庫県が設置した数少ない皮革研究に関する専門機関です。
同様の専門機関は東京にも設置されています。
ただし、兵庫県の皮革工業技術支援センターが牛皮などを中心に扱うのに対して東京の機関は豚皮の研究・技術支援が中心とのこと。
よく食べ物に関して関西の牛肉中心に対して関東は豚肉中心といわれることがありますがぞれぞれの地域の食文化を反映しているようで面白いですね。
鞣し設備も完備した皮革の研究への取り組み
皮革工業技術支援センターでは皮革業界を支援するために鞣し(なめし)製法の研究などを行うため小規模ですが皮革製造工程の設備が備わっている他、なめし革の強度や薬品などの成分を測る各種検査機器も揃っています。
例えば、革を強く引っ張りどのくらいの力で引き裂かれたり破れたりするかといった物性試験。
水に浸けたりして革の繊維を浸透してどのくらいの時間で水漏れなどが起こるかといった耐水度、動的防水試験。
その他、衝撃を与えたり擦ったりして傷や痛み具合をチェックしたり色落ちを調べたりなど様々な試験が行われています。
実際に新しい製法で作られた革やメーカーなどに納品する際に品質保証のために各種検査の依頼を受けることも多いそうです。
また、独自の製法をつくりたいタンナー(皮革工)業者や一般企業からの研究依頼にも取り組んでいます。
取材で内部を見学させていただいた際に目にした一枚の毛付きの皮。牛皮でなく鹿の皮。
このように牛皮だけでなく鹿や馬など様々な動物の皮のなめし加工についての研究にも取り組んでいます。
バッグや靴をつくる授業もある兵庫県皮革大学校
皮革工業技術支援センターは皮革業界の人材育成にも力を入れており、その一環で行われているのが皮革の勉強ができる兵庫県皮革大学校。
皮革の製造設備もあるので材料となる原皮(げんぴ)から仕上げまでの実習や講義に加えて実際にバッグや靴の制作の授業も行われます。
ミシンや革漉き機といった設備も備えているのでタンナーさんだけでなくバッグや靴などをつくるデザイナーや職人さんが素材の知識を身につけることも可能。
皮革に関して材料(皮)の製造からバッグや靴といった商品の制作・加工まで一貫して勉強できるのは日本でも兵庫県皮革大学校だけとのこと。
所長の森さんにお話を伺うと「毎年、開校されますが定員(20〜30人)はすぐに埋まってしまいます。地元のタンナーさんだけなく、全国から受講に来られています。最近は若い人も多くファッションなどで興味のある人が増えいます」とのこと。
全国から姫路に皮革の勉強に来られる人が多いというのは嬉しいことですね。
若い人やクリエイターで革アイテムが好きな人が多いというのを再認識できました。
※皮革工業技術支援センター
〒670-0811 兵庫県姫路市野里3
電話:079-282-2290
FAX:079-222-9043
URL:https://www.hyogo-kg.jp/about/hikaku