厚さ0.1mmでバッグが変わる革の世界

home_12ホームページ制作のStoryboardとして交流のあるクリエイターやエンジニアの方と革のバッグについて話すると、革製品というか革そのものに関心があって自分でも財布や名刺入れといった小物をつくっている、または自分でつくりたいという人が多いんです。moeで革のPCバッグを立ち上げたのもそれがきっかけです。

特にレザークラフトに関心のある方からは「どこで革素材って売ってるの」ということをよく尋ねられます。近年、レザークラフトブームでちょとした革小物の制作ならクラフトショップやネットでも「革 素材 販売」とかで検索するとA4サイズとか適当なサイズに切り出したいわゆる端切れで入手することができますよね。

仕上げなど見た目以上に大切な革の厚み

革の厚さで加工し易さも変わるmoeの場合は活動拠点がタンナーの町で、スタッフは子供の頃からタンナー一筋のベテラン。知識・経験もあり、ネットワークもあります。それらを活用して毎回、なめしの段階からチェックして各工程にも目を配り品質の良い革を入手しています。

その際、用途に合わせて革の厚みを指定します。レザークラフトで革が欲しいという相談を受けるのですが色の指定はあっても厚みに関してはよくわからないという場合もあるのですが革の厚みって非常に大事です。

革の製造時に1〜3mmの厚さで指定した厚みで一枚の革素材がつくられます。薄い方が軽くて加工しやすく小物などにはいいですが反面破れやすくなりますし、ライダーズの革ジャンのように厚くなれば重くて頑丈になりますが縫製などは大変になります。

moeの革は植物ベースのヌメ革仕上げ(タンニンなめし)と薬品処理のクロムなめしのハイブリッド仕上げです。強度でいうと薬品処理のクロム鞣しの方が丈夫でありその長所を取り入れた革です。そのため厚みを抑えて重くならないよう工夫しています。

強さと重さを調整したmoeの革

革の厚さで変わるバッグ厚みに関しては試作の段階で強さと重さを常に調整してきました。丈夫さもさることながら薄くなると革そのもに「コシ」がなく、少し時間が経過し革が柔らかくなった時にコシがなさすぎてヘタリ具合が安っぽくならないかということに注意を払いました。特にsproutトートバッグの場合、そのまま床に置いても立った状態が一般的。加えてクラッチバッグにもなる取り外し式のPC収納部にノートPCを格納した状態。とどのつまりノートPCを収納しても立っているのが特長。

コシのないヘタリ具合が目立つとバッグそのものの値打ちが下がってしまいます。最終的にそれまでの厚みより0.1mm厚くしたのが今のmoeの革。たった0.1mmですが仕上がると革に張りがあるのはもちろんコシもあり安定感とともに風格もでるようなりました。

厚さ0.1mmで全てが変わる。それが革の奥深さだと言えます。